2012 宣言・声明

神奈川県公安委員会・神奈川県警察本部に対する申し入れ書

投稿日:

 

2012年7月5日

神奈川県公安委員会 委員長 殿

神奈川県警察本部 本部長  殿

 

申 し 入 れ 書

 

私たちは日本に住む外国籍の人びとの人権支援・生活相談などに取り組んでいる宗教者や市民の団体です。

去る2012年5月27日12時30分頃、川崎臨港警察署は、カトリック貝塚教会敷地内において、フィリピン国籍の信徒に対して職務質問を行い、旅券不携帯ないし常時携帯提示義務違反の罪により現行犯逮捕しました。

この際、同署の警察官らは、同教会管理者である主任司祭本柳孝司神父に無断で教会敷地内に立ち入ってフィリピン国籍の信徒への職務質問を開始し、同神父が宗教活動の自由、信教の自由の観点から教会敷地内から立ち退くよう求めたにもかかわらず、教会敷地内への立入行為を継続して職務質問を行い、上記逮捕に至ったものです。

これは、憲法の保障する信教の自由(第20条)に基づき、宗教法人法によって宗教活動が認められている宗教法人に対し、その宗教活動を妨害し、信教の自由を侵犯する行為です。

また、本件立入は、警察官職務執行法第6条1項で、警察官が他人の土地、建物等に立ち入ることを認めている、危害の予防、損失の拡大防止、被害者の救助などに該当しておらず、職務権限を逸脱しています。

さらに本件立入は、同法同条第3項で、警察官の職務上の立入に際し、「みだりに関係者の正当な業務を妨害してはならない」と規定されているにもかかわらず、当該教会の正当な宗教活動業務である集会の場で執拗に行われ、集会の進行を妨害しただけでなく、関係者に多大の脅威と不快感を与えたもので、同項に違反しています。

私たちは、このような立入と捜査に対し、強い憤りを以て抗議します。特に、今世紀に入ってから警察当局などを中心に実施された「不法滞在者半減計画」により、駅周辺や街頭などで外国人に対する執拗な職務質問が行われてきたことが、外国人の権利を軽視する風潮を警察当局の中に広げてきたことを憂えます。相手が外国人であれば、居所だけでなくその行く先のどこででも、立入と職務質問ができるという誤った感覚が現場の警察官の間に培われていて、今回のような結果になったのではないかと恐れます。

外国籍住民人口がますます増加する時代を迎え、多民族が相互に信頼し、違いを大切にし合いながら生活する努力が必要です。警察もまた、これにふさわしい在り方をしてほしいと心から願います。

川崎臨港警察署は、本件立入が不適切であったと認め、カトリック教会に対して謝罪しました。しかし、本件は貴神奈川県警本部の指導・監督責任にも関わるものですから、今後このようなことが起こらないよう、貴本部の適切な対処を求め、以下のことを要請いたします。

1.本件のような事案の再発を防止するため、信教の自由の保障の観点から、具体的な対策を提示し、周知徹底してください。

2.宗教施設の周辺や、そこに至る沿道等での職務質問やパスポート・チェックなど、参会者に脅威を与え宗教活動を妨害する行為を止めてください。

3.DV被害にあった外国籍者等の緊急援助のためのシェルターへの立入や、外国籍住民の人権擁護の立場から活動を行なっている市民団体・労働組合の事務所や集会場周辺での取り締まりを止めてください。

4.外国籍住民の人権尊重に関する啓発・教育を徹底してください。

 

<呼びかけ団体>日本カトリック難民移住移動者委員会(JCaRM)

外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会(外キ協)

外国人市民との共生社会をめざす神奈川連絡会議(市民共生会議)

<賛同団体>移住労働者と連帯する全国ネットワーク、一般社団法人神奈川人権センター、カラバオの会(寿・外国人出稼ぎ労働者と連帯する会)、カラカサン~移住女性のためのエンパワメントセンター、神奈川県勤労者医療生活協同組合 港町診療所、神奈川ユニオン協議会、神奈川シティユニオン、よこはまシティユニオン、女のユニオンかながわ、ユニオンヨコスカ、湘南ユニオン、県央コミュニティユニオン、横浜女子短期大学教職員組合、国労神奈川地区本部、全造船労働組合関東地方協議会、同住友重機追浜浦賀分会、同三菱横船分会、同いすゞ自動車分会、同石川島分会、同全労済分会、同日本鋼管分会、同東京地域分会、同東芝アンペックス分会、同ジャルコ分会、同JAM労組横浜支部、原町支部、端子支部、いわき支部、本社支部、しょうなん競輪労組、内外液輸労組、神奈川の外国人教育を考える会、全統一労働組合 、中小労組政策ネットワーク、生活と権利のための外国人労働者実行委員会、APFS労働組合、IAPE(外国人児童生徒保護者交流会)、コリアNGOセンター、カパティラン、平和フォーラム、I女性会議、名古屋難民支援基金、名古屋労災職業病研究会、かけこみ女性センターあいち、フィリピン人移住者センター、すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク(RINK)、北九州フィリピン人協会、外国人実習生権利ネットワーク・北九州、NPO法人女性エンパワーメントセンター福岡、コムスタカー外国人と共に生きる会

難民・移住労働者問題キリスト教連絡会、日本カトリック正義と平和協議会、日本カトリック部落差別人権委員会、日本聖公会正義と平和委員会、聖公会平和ネットワーク、在日大韓基督教会社会委員会、外国人住民基本法の制定を求める神奈川キリスト者連絡会、日本キリスト教団神奈川教区寿地区活動委員会、日本基督教団神奈川教区社会委員会、カトリック横浜教区難民移住移動者委員会(ENCOM YOKOHAMA)、カトリック横浜教区正義と平和協議会、「同和問題」にとりくむ神奈川宗教者連絡会(神奈川同宗連)、在日大韓基督教会西南地方会社会部、在日大韓教会西南韓国基督会館、外国人住民との共生を実現する九州・山口キリスト者連絡協議会、日本聖公会東京教区人権委員会、日本聖公会中部教区可児ミッション、外国人との共生をめざす関西キリスト教代表者会議、外国人との共生をめざす関西キリスト教連絡協議会、在日韓国基督教会館、全国キリスト教学校人権教育研究協議会、外国人住民基本法の制定を求める関東キリスト者連絡会、外国人住民基本法の制定を求める北海道キリスト教連絡協議会、カトリック東京国際センター(CTIC)、カトリック大阪大司教区シナピス、中部外キ連、札幌地区カトリック正義と平和委員会、日本バプテスト連盟日韓在日連帯特別委員会、特定非営利活動法人聖公会生野センター、外国人住民との共生を実現する広島キリスト者連絡協議会、日本キリスト教会横浜長老教会執事会、日本キリスト教会横浜長老教会靖国神社問題委員会、日本の戦後責任を清算するため行動する北海道の会、国際ソロプチミスト高松、名古屋キリスト教協議会、教会と人権を考えるセミナー実行委員会、平和を実現するキリスト者ネット

 

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