コロナ危機をともに生きぬくキリスト者アピール 2021
2021年 第35回「外国人住民基本法」の制定を求める全国キリスト者集会宣言
私たち「外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会」(外キ協)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが続く中、2021年1月28日から29日にかけて第35回全国協議会を、初めての試みとしてオンラインで開催しました。「コロナ危機と21世紀移民社会の宣教課題」という主題のもとに、各地外キ連および外キ協加盟各教派・団体の代表者ら63名が参加し、現状の課題とこれからの取り組みについて協議しました。
パンデミックの脅威は決してすべての者に平等ではなく、社会的弱者が社会的・経済的にもより大きな打撃をその生活に受けることとなりました。日本社会においてもそれは例外ではありません。この間の教会や市民団体が実施した緊急募金や生活支援などの報告を聞き、行政によるより包括的な取り組みが必須である現状を共有しました。また、このような危機的な状況の中でも、送還忌避罪などの罰則の強化を目的とした入管法のさらなる改悪が進められようとしていることを確認しました。そして、聖書のことば、 とりわけ黙示から、 世界の現実を弱者・犠牲者の視点から見ることの意義を分かち合いました。さらにこの状況の中でこそ、和解と平和をめざすために教会が担わなければならない使命について共に学びました。
このパンデミックの状況の中で、過去の戦争と同じように、一人一人の命を軽視する方針が為政者によって繰り返されようとしています。命と尊厳を踏みにじり抑圧した植民地支配の歴史と向き合わなかったことが、現在の日本社会の危機的な状況を招いていることを、私たちはあらためて気づかされています。パンデミックの危機を乗り超えるためには、すべての人の命と尊厳、そして人権が守られる新しい社会を実現してゆくことが必要です。そしてそれは、私たちがめざしている多民族・多文化共生社会を実現してゆくことでもあります。そのためには、侵略戦争と植民地支配をひきおこした過去の歴史に真摯に向き合い、その過ちを明らかにすること、また、外国人を地域に生きる一人の人間として尊重し、住民としての生活を支え、差別を明確に禁止し、それぞれの文化を生かしあう制度を整えることが不可欠であると私たちは確信します。
多民族・多文化共生社会の実現のために、私たちはこれからも、日本・韓国・在日教会の共同作業を通して、歴史に向き合い、真実と和解に向けた対話を進めてゆきます。また、東日本大震災から10年を迎 えた「ふくしま」において、外国人被災者とその子どもたちとの共同プログラムを継続していきます。そして私たちは、さまざまな市民団体と協力しながら、難民申請者・超過滞在者への生活支援に取り組みつつ、地方自治体に対する「人種差別撤廃基本条例」の制定、国に対する「外国人住民基本法」ならびに「人種差別撤廃基本法」の制定を求める取り組みを続けていきます。
虐げられ抑圧されたすべての命に尊厳が回復され、自由と解放とが約束された未来へと、神は私たちを導いていることを聖書は示しています。この聖書の約束を希望として、私たちは世界のキリスト教会、また多文化・多民族共生社会の実現に取り組む市民団体・地域の人びととの協働を進めてゆきます。
私たちは今日、オンライン・ネットワークを通して「第35回『外国人住民基本法』の制定を求める全国キリスト者集会」を開催し、連帯を続けることの喜びと恵みを分かち合いました。和解と平和、そして 自由と解放を求めてゆくことを福音宣教の使命としてゆくことを、私たちは決意します。
2021年1月29日
第35回「外国人住民基本法」の制定を求める全国キリスト者集会 参加者一同
外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会