2010 宣言・声明

「韓国併合」100年 日・韓・在日キリスト者共同宣言

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◇2010年7月5~6日、韓国教会の代表者を迎えて、日・韓・在日教会シンポジウムを開催しました。外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会(外キ協)が主催するシンポジウムには、韓国基督教教会協議会(NCCK)正義と平和委員会から4人、韓国カトリック司教会議正義と平和委員会から2人、在日大韓基督教会から11人、日本教会から35人が参加しました。

◇そして7月6日夜、在日本韓国YMCAで、「真実・記憶・未来への協働――『韓国併合』100年/『在日』100年から」を主題として、日・韓・在日キリスト者共同集会を開催し、次の共同宣言を採択しました。

 

日・韓・在日キリスト者共同宣言

 

真実・記憶・未来への協働

 

「神は、キリストを通してわたしたちをご自分と和解させ、また和解のために奉仕する任務をわたしたちにお授けになりました。」(Ⅱコリント5:18)

 

日本が強制的に韓国を「併合」して100年を経た。いま、わたしたち日・韓・在日の教会は、未来への協働のために「和解」を必要としている。「和解」は、神のみこころ、招き、祝福された任務。「和解」は、真相をたずね、真実を記憶し、手を取り合おうとする者たちに届けられる神の恵み。それゆえ、わたしたちは記憶する。未来への協働のために。

わたしたちは記憶する。植民地支配がもたらしたあらゆる暴虐と、そこで生み出された贖いようのない苦しみを。

わたしたちは記憶する。植民地支配が歴史と人間に彫りつけた傷の痛み、そしてぬぐいようのない憎しみを。

わたしたちは記憶する。植民地支配の遺した差別と分断の年月を。世代を重ねてなお、回復されない尊厳、もたらされない統一への嘆きと渇きを。

しかし、わたしたちは記憶する。これらすべての暗闇の淵に十字架は立ち、キリストは苦しみの中から赦しと和解を成し遂げられたことを。

わたしたちは記憶する。植民地支配の犠牲となった教会と、自らの罪過を悔い改める教会が、神の御心と召しの中で出会い、民の自由と虐げられている人々の尊厳のために、手をたずさえ合うことへと導かれたことを。わたしたちが、神の国とその義を映し、未来を拓く兄弟姉妹として、ふたたび結び合わされたことを。よみがえりの主、和解の主、キリストに、わたしたちが結び合わされたことを。

それゆえ、わたしたちは決意する。神と隣人と未来の前に立ち、赦しと憐れみを乞いつつ、わたしたちは宣言する。

神ならぬものへの追従、暴力による支配、富や性の貪り、あらゆる差別。わたしたちは、これらに与しない。これらと闘う兄弟姉妹となる。誠実な記憶の営みと、闘いと、交わりの中で、わたしたちは自らの生を培い、人を育くむ。わたしたちは、未来のために真実を記憶し、共に祈り、共に生きる。わたしたちは、和解の福音にあずかり、和解のために奉仕する新しい民である。

主よ、わたしたちを導きたまえ。御国を来たらせたまえ。

 

「キリストと結ばれる人はだれでも、新しく創造された者なのです。古いものは過ぎ去り、新しいものが生じた。」(Ⅱコリント5:17)

 

 

「未来への協働」日・韓・在日キリスト者の決意

 

私たち日・韓・在日キリスト者は今年、各教派・団体、各教会において、「韓国強制併合」100年/「在日」100年を覚えて、共に祈りを合わせます。私たちは、日本社会、韓国社会、アジアと世界に向けて、私たちの悔い改め、和解と共生への願いを発信していきます。

 

1.歴史の検証

日本の教会とキリスト者は、みずからの教派・団体が、日本の植民地支配にどう関わったのか −−あるいは、なぜ沈黙してしまったのか、そしてそのことについて、戦後の宣教論・伝道論においてどのように検証されたのか/検証されなかったのかを、具体的に、厳しく問うことから始めます。なぜなら、日本の教会とキリスト者は、戦前も戦後も、国家の植民地主義、自民族中心主義から自由ではなかったからです。

 

2.朝鮮半島の分断と日本

日本の教会とキリスト者は、 1945年から始まる朝鮮半島の分断が、日本の植民地支配に関わる歴史的要因から生じたこと、さらに戦後において朝鮮戦争特需など、日本は朝鮮半島分断から経済的利益を得てきたことを強く認識します。

日本の教会とキリスト者は、韓国教会をはじめ、在日韓国教会など海外韓国教会の「平和統一」に向けた取り組みを全面的に支持し、連帯していきます。

 

3.植民地主義、人種主義の克服

私たち日・韓・在日キリスト者は、植民地主義、人種主義に対峙しながら、さまざまな国籍の、さまざまな文化の、さまざまな人びとに開かれた教会、共に生き共に生かし合う教会の形成をめざします。

 

4.共同プログラム

私たち日・韓・在日キリスト者は、各教派・団体、各教会において、日・韓・在日教会の「出会い」と「交流/対論」「分かち合い」のプログラムを、さらに推し進めます。とくに、21世紀を生きる青年たち、子どもたちの「学び合う」プログラムを、共同で行っていきます。

私たちは、教会学校、キリスト教学校での歴史教育、平和教育、人権教育をより豊かにするために、カリキュラム・教材の研究・作成を共同で行っていきます。

 

5.日本政府・国会への要請

私たち日・韓・在日キリスト者は、「韓国強制併合」100年/「在日」100年にあたり、次のことを日本の政府と国会に対して、強く求めます。

(1)国会は、1904年日韓協約から1910年韓国併合条約に至る一連の諸条約が不法・不当であったことを認めるとともに、植民地支配の罪責を謝罪する決議をすること。

(2)国会と政府は、関東大震災時の朝鮮人虐殺、朝鮮人強制連行・強制労働、日本軍性奴隷とされた慰安婦など、「朝鮮半島の植民地犯罪」について、「真実と和解委員会」を設けること、そして、その当事者・遺族に対する補償法の立法と実施を、すみやかに行なうこと。

(3)国会と政府は、在日韓国・朝鮮人など旧植民地出身者とその子孫に対して、無条件の永住権と、国際人権条約が定める民族的マイノリティとしての地位と権利を保障する「旧植民地出身者の法的地位と権利に関する基本法」を制定し、実施すること。また、すべての外国籍住民の人権保障のために「外国人住民基本法」を、排外主義・人種主義を根絶するために「人種差別撤廃法」を制定し、実施すること。

(4)政府は、歴史の清算と和解に向けて、日朝国交正常化交渉を粘り強く進め、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との国交を実現すること。

(5)政府は、植民地主義を克服し東アジアの和解と平和を実現するための歴史教育を、学校教育、社会教育において実施すること。

 

2010年7月6日

 

「韓国併合」100年/「在日」100年 日・韓・在日教会シンポジウム 参加者一同

「韓国併合」100年/「在日」100年 日・韓・在日キリスト者共同集会 参加者一同

外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会

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