●はじめにーーー緊急基金がめざしたもの
昨年2023年6月に「出入国管理及び難民認定法」(入管難民法)の改悪案が国会で可決され、難民申請者・仮放免者らが窮地に追い込まれていることに危機感を覚え憂慮した外キ協は、教会共同声明を出すと共に、8月、「難民・移民なかまのいのちの緊急基金」を設立しました。
この1年間で献金の総額は10,070,903円となり(2024年8月1日現在)、それに助成金50万円を加えて基金とし、そこから難民申請者・仮放免者ら313人に対して一人3万円ずつ支援することができました。
これまで「難民・移民フェス」(2022年~東京・埼玉で開催)などで協働してきた支援団体から支援申請書を出してもらうほか、基金運営委員が当事者と面接などして支援金を渡していき、支援金は当事者の当面の生活費・医療費・就学費等に活用されました。
こうした活動と並行して私たちは月1回通信『ここのかレター』を発行し、難民申請者・仮放免者らの緊迫する生活状況、差別的な制度の狭間で窮地に陥る当事者のリアルな声、さらにひっ迫する支援現場の声などを、献金を送ってくれた教会・修道会・団体・個人、そして日本社会に発信していきました。また、改悪入管難民法が国会で成立した6月9日を覚えて、毎月九日(ここのか)には祈祷会をもち、全国の仲間と祈りをあわせることができました。そして2024年2月と6月には対面とオンラインで集会を開催し、当事者と支援者、寄付者、のべ300人以上が全国から参加し、基金の活動状況と今後の課題について率直に話し合うことができました。
この1年間、献金を送ってくださった教会・修道会・団体は延べ153、個人は延べ267人に及びます。このことは、日本のあまりにも過酷な難民認定・入管行政、それを結果的に容認する日本の政治、それを黙認してしまう日本社会に対して、多くのキリスト者がこれではいけないと自分のこととして考えた表れでした。また、キリスト者としていのちが一番尊いことを改めて教えられ、与えられたいのちを分け合う喜びを、献金という形で表すことができたのです。
このようにして緊急基金の活動を通じて、これまで関心のなかった人びとにもこの課題を知る機会ができ、また関心があっても、自分は何ができるのか分からず、動き出せなかった人びとに行動するきっかけとなり、一人一人の小さな行動が大きな支援を実現することができたと言えます。かつてない広がりは、外キ協という38年間積み上げてきた大きな枠組みがあってこそなされましたが、何よりも緊急基金の意義を感じた多くの働き人の尽力によるものだと言えます。皆様に感謝するばかりです。
『難民・移民なかまのいのちの緊急基金報告書』を、皆さんにお届けします。皆さんと共に、この1年間を振り返りながら、次の第一歩を踏み出したいと願っています。
緊急基金はこの報告書の発行をもって完了しますが、私たちは10月から、新たな3年プロジェクトとして「難民・移民なかまのいのち協働基金」をスタートさせます。
2024年10月9日
外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会(外キ協)
「難民・移民なかまのいのちの緊急基金」運営チーム
◆難民・移民なかまのいのちの緊急基金の報告書はこちらからダウンロードできます。