2015 宣言・声明

2015年/第29回「外国人住民基本法」の制定を求める全国キリスト者集会宣言

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2015129日から30日にかけて、「外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会」(外キ協)は、第29回全国協議会を北九州市の西南KCCにて開催しました。「和解と共生の天幕をひろげよう」という主題のもとに、各地外キ連および外キ協加盟各教派・団体の代表者ら約50名が参加しました。協議会では、福島県での東日本大震災外国人被災者の現状や外国人被災者支援の課題について、今や世界的な問題となっている「ヘイト・スピーチ」の日本における現状と課題について、そして改定入管法の抜本的見直しに向けての課題を共有し、多民族・多文化共生社会の実現について論議しました。また、証言を通して、在日外国人の人権を求めてきたこれまでの歩みを振り返り、和解と共生への道を歩む者への励ましのメッセージを聖書から聞きました。

 2011311日の東日本大震災以来、まもなく満4年になろうとしていますが、多くの外国人住民が地域社会において孤立している状況は、今なお大きく変わっていません。一方で、20127月から施行された新しい在留管理制度は、外国人住民の管理と排除を強化し、外国人住民が地域社会の一員として生きることを妨げています。これに対して、外国人住民を共に地域に暮らすパートナーとし、その人権が守られる社会とは、日本人にとっても暮らしやすい社会に他なりません。そのためには、そこに生きる一人一人が互いを尊重し合い、互いの文化を分かち合うことが不可欠です。そのような社会の実現を目指して、わたしたちは「外国人住民基本法」の制定を引き続き求めてゆきます。

 2000年代に入って日本で顕在化したヘイト・スピーチをはじめとする排外主義の高まりは、今日ではテレビ等のマスメディアを通した人種憎悪の喧伝、嫌韓・反中書籍・週刊誌の氾濫、一部保守政治家とネット右翼幹部との親密な交際など、その深刻さは増していく一方です。こういった風潮は、1970年代以降わたしたちが築き上げてようとしてきた多文化共生社会を根底からくつがえすものになっているばかりでなく、韓国・北朝鮮、中国との緊張の高まりにみられる北東アジアの不安定要因の一つとなっています。

 昨年、日本政府は、国連自由権規約委員会と人種差別撤廃委員会から「人種主義の表明、人種主義的暴力と憎悪に、断固として取り組むこと」を求められたにもかかわらず、その立法化に着手さえしていません。それゆえ、わたしたちは「人種差別撤廃基本法」の今国会での成立を目指します。また在日大韓基督教会が呼びかけ、今年11月に開催される第3回「マイノリティ問題と宣教」国際会議に積極的に協力します。 

 今年2015年、わたしたちは戦後70年そして日韓国交正常化50年を迎えますが、過去の日本の戦争と植民地支配への反省を否定する流れが作られようとしています。歴史を顧みないことが、国家の暴力を増長させ、社会の中で憎悪と排除を生み出すことを、わたしたちは知っています。真の共生社会、多民族・多文化共生を実現するためには、過去の歴史と反省を受け継いでいくことが必要だとわたしたちは考えます。

 そして今日31日、在日大韓基督教会小倉教会において、「第29回『外国人住民基本法』の制定を求める全国キリスト者集会」を開催しました。今日の集会で私たちは、困難な時代の中にあってなお神の義を求め続けることの大切さ、そして排外主義を乗り越えて対話し続ける努力の重要さをあらためて気付かされました。

わたしたちは、現代を生きるキリスト者として、この世界で和解と共生を求めていくことを、自らに託された福音宣教の使命として取り組んでいくことを決意します。

2015年1月31

29回「外国人住民基本法」の制定を求める全国キリスト者集会 参加者一同

外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会(外キ協)

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