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13回外登法問題国際シンポジウム共同宣言


  私たちは、6月30日〜7月2日、第13回外登法問題国際シンポジウムを、主題「東アジアの和解と共生のビジョン――日・韓・在日教会の共同課題」のもと、愛知県犬山市において開催した。


韓国基督教教会協議会正義と平和委員会、韓国教会在日同胞人権宣教協議会、韓国カトリック司教会議正義と平和委員会、日本キリスト教協議会在日外国人の人権委員会、外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会が共催した国際シンポジウムには、韓国、日本、在日の教会から55名の参加があった。


私たちは、反外登法の運動を展開する中で、在日韓国・朝鮮人の解放のための活動を教会の使命として担うことを目的に国際シンポジウムを1990年に開始して以来、人びとが共に生き、共に生かし合う社会の実現を目指してきた。そして、今回のシンポジウムでは、日韓の両社会がグローバリゼーションにより急速に「多民族・多文化」化する中での教会の使命と役割について、主題講演と聖書研究、事例報告、発題を受け、協議した。


今回のシンポジウムに参加する前、韓国側参加者の1名が名古屋中部国際空港で数時間にわたり厳しい取り調べを受け、残りの16名は不当にも拘束された。韓国側参加者たちは、入管当局の責任者に抗議をし、謝罪を求めた。私たちは、今回の韓国側参加者の抗議に全面的に賛同し連帯すると共に、全世界の民衆に苦難を与える新自由主義グローバリゼーションに対する反対の意思表明をこのような形で押さえつけようとする日本政府の姿勢に改めて憤りを覚える。


今日において世界を席巻している経済グローバリゼーションは、多くの「隔ての壁」や痛みをもたらしている。規制緩和を唱える新自由主義イデオロギーのもと、人が人らしく生きるために必要な社会福祉や医療などの分野に市場原理が導入され、社会的な弱者が切り捨てられつつある。労働市場における規制緩和によって非正規雇用が大幅に増える中で、経済的格差や貧困、不平等が広がりつつあり、多くの人びとの不安が増大している。この不安の増大は、特に日本では排他的なナショナリズムを生み出す温床ともなっている。


また、経済グローバリゼーションは、平和の問題とも大きく関わっている。経済グローバリゼーションが進む中、海外進出した日本の多国籍企業の海外資産の保全のために、米国と連動した海外における日本の軍事的プレゼンスへの道が開かれようとしている。「戦争ができる国家」つくりのための平和憲法改定の動きなどもその流れの一環である。また、この動きを正当化するため、「テロ」対策という大義名分が利用されているが、それは外国人管理の強化を進める際にも利用されている。「テロ」対策の名のもとに改定された出入国管理及び難民認定法(入管法)における指紋押捺制度の復活をはじめ、外国人管理に関する法制度を強化することを通して、在日外国人の監視・管理体制が構築されつつある。これは、日本国籍者に対する監視・管理をも視野に入れたものである。


 一方、人口の減少による労働力不足を踏まえての「移民開国論」が「多文化共生」を掲げつつ政財界から唱えられているが、これは、移住者の人権への視点を欠いており、日本の産業を支える非正規の低賃金労働力の確保を覆い隠すためのカモフラージュであると言える。


 韓国においても、移住民をめぐって多くの課題が現存する。その中で私たちは、日韓両国における移住民の子どもたちの置かれている状況に注目した。グローバリゼーションのしわ寄せは、弱い立場にいる移民者の子どもたちにも及んでいる。無国籍、アイデンティティ・クライシス、不就学という、子どもたちが置かれている状況は早急に改善されねばならない。


私たちが求める多文化共生とは、声を失いかけるほどに小さくされた者の声が響きあう共生の空間を広げることである。これは、私たちに与えられている宣教の使命である。私たちは、イエス・キリストが新自由主義経済のもとで苦しむ民衆と共に臨在されていると信じる。


制度的な同化と排外を内在した官製の多文化共生とは違った共生空間を切り拓くためには、私たちは「国民−外国人」という枠組みを克服し、共感し、出会う場をつくっていかなければならない。そのために、外国人を地域社会を共に形成する住民と見なす中で、相互に協力しつつ、共に生きていく「地域住民文化」を形成する地域住民レベルの運動が必要とされている。また、そのような運動に参与するため、イエス・キリストを頭とする教会は、自らのために生きるのではなく、多文化地域社会に仕える社会的な責任を負った共同体にならなければならない。


 私たちが担うべき課題はあまりに大きく、重いように思われる。しかし、私たちは諦めない。もし私たちが希望を失い、私たちのいのちを動かすバイタリティーを失うなら、私たちは存在への勇気と、逆境の中にあっても私たちを前進させる力を与えてくださる聖霊の導きを見失うからである。このような決意を心に刻みつつ、私たちは次の共同課題に取り組むことを表明する。


 


日・韓・在日教会の共同課題


1.私たちは、新自由主義のもとにあるグローバリゼーションの中で、多国籍企業の保全と米国の世界戦略のための戦争の道を「世界平和を守る国際貢献」の美名のもとに復活させようとする、平和憲法の改悪の動きに反対する。


2.私たちは、世界において「テロ対策」の名のもとに外国人およびマイノリティへの監視・弾圧が強化され、人権侵害にさらされていることに対して、教会の世界的ネットワークを活かして反対の運動を展開する。その一環として、日本入国における抗議意思の表明など、改定入管法による指紋・顔写真などの生体情報の管理制度撤廃に向けての運動を展開する。


3.私たちは日韓両政府に対して、日本の歴史責任を明記し、日本軍「慰安婦」、強制連行・強制労働などに対する戦後補償の実施、歴史認識の共有作業などを定めた新しい日韓協定を早急に結ぶよう求める。


4.私たちは、「在日韓国・朝鮮人の歴史性を反映した、民族的マイノリティとしての地位と権利の保障」「移住労働者・結婚移民者・難民の人権保障」を、教会の宣教課題として取り組む。


5.私たちは日韓政府に対して、「すべての移住労働者とその家族の権利保護条約」の批准、未登録移住労働者の合法化、難民申請者の在留資格付与を求める。


6.私たちは日本政府・国会に対して、定住外国人の地方参政権を実現するように求める。


7.私たちは日本政府・国会に対して、「外国人住民基本法」と「人種差別(民族差別)禁止法」の制定、政府行政機関から独立した「人権委員会」の創設を求める。


8.私たちは、今年作成された共同ブックレット『歴史をひらくとき−共に生きる世界・2008』を活用する。韓国においてはその文脈に合わせた翻訳版を2009年中に作成する。


9.私たちは、韓国教会「在日同胞苦難の現場訪問」を、今後も継続する。


10.私たちは、若い世代の交流とネットワークの形成や、共生社会実現のビジョンを描く人を養成するために、「多民族・多文化共生キリスト者青年」現場研修を今年から5年計画のプログラムとして開始する。


11.私たちは、世界的な市民権、多文化共生社会、移住民の神学などの研究・促進のために研究チームをつくり、交流する。


12.私たちは、それぞれが直面している課題を共有し、東アジアの和解と共生という日・韓・在日3教会の共同課題を協議し実践するために、今後も国際シンポジウムを継続する。次回は、2009年6月末に韓国光州で開催する。


 


2008年7月1日


13回外登法問題国際シンポジウム 参加者一同


外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会


日本キリスト教協議会在日外国人の人権委員会


韓国基督教教会協議会正義と平和委員会


韓国教会在日同胞人権宣教協議会


韓国カトリック司教会議正義と平和委員会


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