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2011年/第25回 全国キリスト者集会宣言≫


2011年1月2022日、「外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会」(外キ協)は、第25回全国協議会を、川崎市産業振興会館にて開催し、「宣教課題としての外国人住民基本法」という主題のもとに、韓国基督教教会協議会正義と平和委員会、韓国教会在日同胞人権宣教協議会、各地外キ連および外キ協加盟各教派・団体の代表者約40名が参加した。協議会では、2012年に実施される新しい外国人在留管理制度(入管法・入管特例法・住民基本台帳法の改悪)についての情報をあらためて共有し、その実施にあわせて外キ協運動を発展的に再編するべく真摯な論議がかわされた。


そして今日22日、カトリック貝塚教会において、「平和は多民族・多文化共生社会のアジアから」の主題のもと、「第25回『外国人住民基本法』の制定を求める全国キリスト者1・22集会」を開催した。外登法問題の抜本的改正と、「外国人住民基本法」の制定とを求めて、私たちは24年間、闘いつづけてきた。そして今日、私たちは、これまでの運動の意義を顧みつつ、今後の発展のために新しい一歩を踏み出さなくてはならない。


グローバル化の加速度的な進行のもと、いま世界には超えがたい経済格差が形成され、非常に多くの人びとが国境を越えての流浪を余儀なくされている。とくに少子高齢化時代を迎えた日本社会は、労働人口の減少にともない、外国人を隣人として受け入れなければならない状況におかれている。すでに日本社会には220万を超える外国人住民が生活し、「多民族・多文化共生」はきわめて具体的な課題となっているのである。政府や自治体、さらに経済界さえもが近年「多文化共生」を口にする状況はその証左だろう。


しかしながら、この社会に真の意味での「多民族・多文化共生」がすでに実現しつつあるとは私たちには思われない。現実には、外国人の人権を制限して管理を強化し、分離・排除を進めるいびつな制度が形成されつつあるからだ。2004年の法務省ホームページにおける匿名通報制度、2007年に実施された外国人雇用届出制、そして入国・再入国時における顔写真・指紋情報登録制度などにより、この社会に住む外国人住民の生活はますます息苦しいものとされてきた。そして、2009年7月には外国人登録法の廃止と入管法・入管特例法・住民基本台帳法の改定法が国会で可決され、新しい外国人在留管理制度のための準備が進められている。


さらに、日本は人種差別撤廃条約・子どもの権利条約等の国際条約を批准しているにもかかわらず、外国人・民族的マイノリティの子どもへの差別に対する取り組みは遅々として進んでいない。排外的風潮が高まる中、直接的・間接的なヘイトクライム(憎悪犯罪)が野放しにされ、また政府自身、朝鮮学校への高校無償化適用を凍結させている。こうした現状に対して国連の人種差別撤廃委員会は懸念を表明し是正を勧告している。


 私たち外キ協は、1987年の結成以来、一貫して外国人登録法の非人権性を訴えかけ、その抜本的改正を求め続けてきた。これまでの私たちの運動の到達点は、歴史責任を問う歩みの中で、共に生きることを願い、さまざまな国籍やさまざまな文化を持つ隣人と出会い続けてきたことである。日本人キリスト者は在日コリアンと出会い差別の実態について「知らなかった」自分を問い、在日コリアンのキリスト者は日本人と出会い直す中で、自らの「痛み」を声に挙げ日本社会の一員として日本人と共に生きていこうとすることの大切さを知らされた。そしてこのキリスト者のつながりは海を越え、韓国のキリスト者とも出会い続けてきたのである。外キ協運動は24年間、隣人との出会いの中で、常に自らを問われ、新しくされ、隣人の「痛み」と歩みを共にしようとする思いに突き動かされてきた。お互いの心の中にある壁を少しずつ乗り越えようとしてきたこと――そこにこそ、私たちの掲げる「多民族・多文化共生」の内実はつくりだされてきたのである。そしてこのような「協働」の営みは、外国人住民が増加し多民族化するこれからの日本社会においてますます必要な経験となっていくだろう。


  私たちはまた、1980年代から90年代にかけて、さまざまな国籍条項の撤廃にとりくみ、「機会の平等」の実現を目指してきた。しかし、外国人の就業統計は、今日もなお外国人住民の職業分布が固定化されており、外国人住民は構造的な貧困状態から抜け出せていないことを明確に物語っている。私たちはこのような反省に立ちながら、「機会の均等」ばかりでなく、「結果の平等」、「社会経済的領域での格差解消」のための取り組みを進めていくだろう。それは私たちのすぐ隣に住む外国人住民を、地域社会の担い手として、共に生きるパートナーとして迎えいれ、彼らの生きる権利を保障する制度をつくりだすことである。私たちの掲げる「外国人住民基本法」の理念は、ここにこそ意味を宿すのである。


 私たちは2010年に、「韓国強制併合」から100年を迎えた。植民地支配と、戦後の差別と暴力に満ちたこれまでの歴史を乗り越えて、私たちは「共に生き、共に生かされる社会」を目指したいと、切実に願うのである。


「多民族・多文化共生」――私たちはこの言葉を決してあきらめない。運動の途上には困難が多く、今日の日本の状況は絶望的であるかもしれない。しかし、私たちはキリスト者として苦難をも誇りとする。


「私たちは知っているのです。苦難は忍耐を、忍耐は錬達を、錬達は希望を生むということを。希望は私たちを欺くことがありません。私たちに与えられた聖霊によって、神の愛が私たちの心に注がれているからです」(ローマの信徒への手紙5:3〜5)。


私たちはこの言葉を信じ、この地における「多民族・多文化共生社会」の実現を求めて何度でも声を上げ続けることだろう。キリスト者として、この地に小さくされている隣人の「痛み」とともに。


<政府および関係諸機関への要求項目>


1.政府と国会は、在日韓国・朝鮮人など旧植民地出身者とその子孫に対して、日本の歴史責任を明記し、民族的マイノリティとしての地位と権利を保障する人権基本法を制定すること。


2.政府は、歴史の真の清算と和解に向けて、日朝国交正常化交渉を粘り強く進め、日朝国交の実現と「拉致問題」を解決すること。


3.国会は、米国議会などの決議を誠実に受け止め、「戦時性的強制被害者問題解決促進法」「恒久平和調査局設置法」を速やかに制定すること。


4.政府は、東アジアの和解と平和を実現し、ひいてはアジア全体や世界に対する不戦の誓い を実現するために「平和憲法」を具現化すること。


5.政府と国会は、日本国憲法と国際人権条約に基づいて外国人住民の人権が侵害されることがないように配慮し、その具体的なとりきめとして外国人住民の包括的な人権保障のための「外国人住民基本法」を制定すること。


6.政府は、在日外国人の管理強化を目的とした2009年改定法(2012年実施)を再検討すること。


7.政府は、難民申請者への居住権保障、非正規滞在者への在留資格付与を行なうこと。


8.政府は入管法における外国人指紋・顔写真登録制度を中止すること。


9.政府と国会は、国際人権諸条約の選択議定書(個人通報制度)を批准し、「人種差別撤廃法」を制定するとともに、パリ原則に基づいた「国内人権機関」を創設すること。また「すべての移住労働者とその家族の権利保護条約」を速やかに批准すること。


10.地方自治体は、在留資格の有無や違いにかかわらず、外国人住民の生活権を保障するとともに、外国人住民の住民自治・地方自治参画を積極的に推進すること。また、人種差別禁止条例、多民族・多文化教育指針を作成し、実施すること。


<私たちの取り組み>


1.「外国人住民基本法(案)」の制定運動への理解と協力をキリスト教界、日本社会に広く呼びかけていく。


2.来年、2012年から実施される改定入管法・入管特例法・住民基本台帳法に反対する取り組みを強力に推進していく。


3.「韓国強制併合」100年/「在日」100年を憶えて、日・韓・在日教会の歴史と現在を検証する。とくに「日本の植民地支配と教会」の実相を調査・記録していく。


4.『<新版>歴史をひらくとき』の発行を目指し、キリスト教学校と神学校における人権教育・歴史教育を推進していく。


5.外登法問題国際シンポジウムを継続し、日・韓・在日3教会共同の取り組みを推進する。さらに日本の歴史責任を踏まえて、沖縄教会や台湾教会などとの共同プログラムも検討していく。


6.難民・移住労働者問題キリスト教連絡会など在日外国人の人権にかかわる教会関係組織との共同プログラム、各地外キ連での難民・移住労働者・移住者支援のプログラムを推進していく。


7.「青年の旅」を継続し、各教派・団体の青年育成プログラムとの連携を図る。


8.国内人権機関の設置運動、人種差別撤廃法の制定運動、国際人権活動などにおいて、他の人権NGO、市民団体と共同して推進していく。


2011年1月22


25回「外国人住民基本法」の制定を求める全国キリスト者122集会 参加者一同


外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会


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